3週間ほど前、若い友人から「ちょっと紫乃ママに紹介したい女性がいるんです。これからのこと色々思案中らしくって…」との紹介メッセージともに、ある大手企業に長年勤めている50代の女性が昼スナに現れた。
彼女は社内でのポジションも高く、外から見れば、いわゆる「勝ち組」。
オシャレなメガネやアクセサリーが印象的な、素敵な方だった。
丁度その日は昼スナが結構混んでいて、せっかく来てくださったのに、なかなかゆっくりお話ができそうにない状況で、洗い物やら、飲み物をつくる合間を縫って、カウンター越しに彼女と少しだけ話した。
「来てくださってありがとうございます。どうされたの?」
「なんかね〜、そろそろ役職定年も迫っていて、会社の雰囲気も微妙だし、
これからのことちゃんと考えなきゃ…って空気感なんですよね。
でも、次何やっていいかわかんなくって…。起業とかも考えてないわけじゃないんだけど、
それ、私本当にやりたいのかな?って思ったり」
私はコップをガチャガチャ洗いながら…
「そっかそっかぁ。急に『やりたいこと』と言われても、そんなすぐに思いつかないですよね。
『やりたいこと』すぐに見つからないならさ、『やりたくないこと』を止めるってどうですか?
今まで、やりたくないけど、しょうがないからやってきたことって結構あるでしょ? 例えば、満員電車に毎日乗るとかさ、そういうレベルの『やりたくないこと』…」
なんて言葉を残しつつ、その日はバッタバタで、でも彼女も他のお客さんとわいわいおしゃべりされて2時間くらいで帰られた。
あまりしっかりお話できなかったので、夜メッセージを入れたら、
「あれから『やりたくないこと』を考えてます」
そんなお返事が来た。
そして先週の昼スナに、3週間ぶりに彼女が、ご友人(それも前の昼スナで会った他の方のイベントで出会った方)を連れて、また来てくださった。開口一番、
「紫乃ママ、私ね『やりたくないこと』考えたら、やっぱり今の会社で、今の状況で働き続けていくことだってことがよく分かったの。
だからね、退職することにしました。そしたらね、面白そうな新しい仕事の話しが別のところから来てね、12月半ばからそこに行くことになったんです」
「え?! 辞めたんですか?」
はやっ!
さすがの急展開に私もびっくりした。
でも、彼女の顔は冴え冴えとしていた。
「やりたいことを見つけよう」って今、みんな言うし、それができれば最高だと思う。
でも今までそれをずっと押し殺して生きてきた我々世代、そんなに簡単にそんなもの見つからなくない?
じゃあ「やりたくないこと」を止めてみる。それもいいじゃない、と思う。
「やりたくないこと」をどんどん止めていけば、やりたいことが残るかもしれないものね。
彼女のネクストステージに幸あれ。
紫乃ママ
※昼スナで話し足りない方、ママに個別の相談をしたい方はヒキダシセッションへ。